舞台「ポセイドンの牙」Version蛤ゲネプロ公演で前田航基らが観客へ向けて放った演出

2017年10月13日(金)東京・紀伊國屋ホールにて、舞台「ポセイドンの牙」Version蛤 公開ゲネプロ公演が上演された。本作は、2016年5月に上演した「ポセイドンの牙」のリニューアル作品として、装いも新たに生まれ変わっての公演となる。

当日は、前田航基をはじめ、原嶋元久小早川俊輔小松準弥森田桐矢など、17名の出演キャストたちが舞台の上に立って、各々の役柄を演じ切った。ゲネプロ後には、舞台芸術家・伊藤靖朗を交えた記者会見が行われ、本舞台の見どころなどを告白。

そこで、当日のゲネプロ模様を紹介し、舞台「ポセイドンの牙」がどのように生まれ変わったのか、その魅力に迫ってみたいと思う。

本舞台は、株式会社メディアミックス・ジャパンがプロデュース、舞台芸術集団・地下空港が手掛ける演劇舞台。地下空港は、1999年に旗揚げして以来、"劇場に旅をする"をテーマに、空間芸術比喩的寓話の融合する演劇スタイルを開拓した。

演出家の伊藤靖朗(以下、伊藤)は、地下空港の主宰として数々の舞台を生み出している。これまで、平成25年度文化庁新進芸術家育成プロジェクト『TOP』の演出家に選出されただけでなく、2017年3月に移動型参加型演劇「Safaring The Night」の上演では、朝日新聞の文化・文芸欄に掲載されるほどの実績を残した。

伊藤の作品は、緻密な世界観で幻想的な寓話を作り出し、現代社会に鋭く切り込ませる趣向を凝らしている。演出だけでなく、美術・音楽・衣裳など、あらゆる舞台芸術を駆使し、劇場へ足を運んだ観客を独自の空間へ誘ってきた。

ゲネプロ公演時に劇場へ入り、場内アナウンスが流れる。ここまでは普通の演劇と何ら変わりなかったが、次の瞬間、一気に会場の雰囲気が変わった。学生服を着たキャストたちが大賑わいで客席に入って来るやいなや、客席に座る観客たちへ挨拶や会話を始める。いきなりの展開に驚きを隠せない様子の観客たちだったが、すぐに舞台がスタートしていることに気づき、キャストたちのやり取りを堪能していた。


すると、舞台上に一人の女性教師が登場し、学生たちに呼びかけていく。そして、彼らに先日行ったであろうテストの結果を順番に手渡していった。演技を見ていると、どうやら彼らは水産高校の生徒たちのようだ。

そこに通う自称・スイサンズの須永宇宙期、道井磨多井、葛先賢人、生方英、萩原安打尊の男子生徒たち。よく見る男子高校生の日常風景が舞台上で繰り広げられていたが、彼らが通う水産高校に危機が迫る。なんと、自治体の資金難の関係で、防衛人材育成高校に変更する計画が浮上した。しかも男子校になるということで、女子を愛するスイサンズのメンバーにとっては一大事。そこで、資金を調達し、計画を阻止するために、学校の所在地近くにあるスニオ岬の海底に沈む"黄金の釣針"を探し当てることを決めたのだった。

その頃、スニオ岬の海底でも騒動が起こっていた。太古の神である海神・ポセイドンが、深海の使者・ドローナと戦士・カルナと一戦を交えていたのだ。渦潮を巻き起こすポセイドンだったが、ドローナとカルナの攻撃に傷を負ってしまう。

その後、ストーリーは人間と深海に棲む生き物たちとの戦いへと進展していく。殺陣あり、笑いありの内容に客席からは様々な反応の声が上がっていた。シリアスな内容だが、コミカルなシーンも交ざった公演になっている。

また、ストーリーだけでなく、キャストたちの役に成りきる姿や様子は圧倒してしまうほどの迫力を感じる。セリフだけでなく、身振り手振りや立ち居振る舞いは見ていて圧巻。けれど、ところどころに小ネタを挟んで、見ている人に笑いを起こさせるなど、緊迫した場面だけでなく、コメディ要素も込められている。

特に筆者が注目したい点は、舞台の上だけでなく、劇場全体を使った演出の数々だ。演出家の伊藤は空間芸術を駆使して、多くの人たちを驚かせることで話題。舞台セットの展開やキャストが客席内で見せる演技、そして、舞台の広さを活かした奥行きのフォーメーションで壮大な動きを繰り広げた。

CGや映像を使わず、目の前に広がる場景で楽しさを感じさせる舞台を作り上げる。地下空港のテーマともいえる"劇場に旅をする"を体感させてくれる。ストーリーだけでなく、キャストたちとの距離感を意識して観劇すると、また違った面白さを味わえるかもしれない。


あらすじ

ナカツ県の乙亀(オトガメ)市にある水産高校に通う陽気なバカ男子仲間・スイサンズたちはある日、 自治体の資金難から母校がなんと防衛人材育成高校(男子校)へと変わる計画を聞く。 海と女子と夢と女子を愛するスイサンズはそれを阻止するべく、 乙亀市海外のスニオ岬の海底に沈むと伝わる「黄金の釣針」を手に入れようと画策。 しかし期を同じくして、 海底に沈む太古の神々がその「釣針」をめぐり動き出すのであった…。


出演者

前田航基/原嶋元久/小早川俊輔/小松準弥/森田桐矢/山下聖菜/森山栄治/汐崎アイル/渡辺和貴/西丸優子/野田孝之輔(地下空港)/野々目良子/竹岡常吉/鎹さやか/大塚由祈子/愛原実花/岡田達也


劇場

紀伊國屋ホール


公演日程

2017年10月13日(金)~21日(土)

10月13日(金)19時

10月14日(土)14時/18時半

10月15日(日)14時/18時半

10月16日(月)19時*

10月17日(火)19時*

10月18日(水)19時*

10月19日(木)14時/19時*

10月20日(金)19時*

10月21日(土)14時

*の公演は終演後にアフタートークを実施。


アフタートーク

10月16日(月)19時

前田航基、小松準弥、野々目良子、竹岡常吉、愛原実花、岡田達也、伊藤靖朗

10月17日(火)19時

小早川俊輔、森田桐矢、西丸優子、森山栄治、汐崎アイル、鎹さやか、大塚由祈子

10月18日(水)19時

原嶋元久、山下聖菜、渡辺和貴、野田孝之輔、野々目良子、鎹さやか、大塚由祈子

10月19日(木)19時

森山栄治、汐崎アイル、渡辺和貴、西丸優子、野田孝之輔、竹岡常吉、岡田達也

10月20日(金)19時

前田航基、原嶋元久、小早川俊輔、小松準弥、森田桐矢、山下聖菜、愛原実花


チケット料金

通常:7,500円(税込)

18歳イカシート:4,300円(税込)

ブリマイドシート:7,500円(税込)*希望キャストのブロマイド付き


チケット発売

チケットぴあ(PC/携帯共通)

セブン-イレブン、サークルK・サンクス、ぴあ各店舗でも直接販売

0570-02-9999(Pコード:480-496)

キノチケットカウンター

(店頭販売 10:00~18:30)

(新宿駅東口・紀伊國屋書店新宿本店5F)

キノチケオンライン


企画・製作

メディアミックス・ジャパン


「ポセイドンの牙」公式サイト

公式ツイッター


執筆者

Wish-True.net発行人/文筆コーディネーター/ニュース記者

野島亮佑(@tkrtmi

Wish-True.net

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